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2026.03.13 設計

勉強会の最終回!プランマスターへの道

工務店さまでの全10回にわたる講座が、

最終回を迎えました。

法規の基本からスタートし、
実際にプランを作成するために必要な思考の組み立て方、手順、視点——。

一つひとつ積み重ねてきた時間でした。

毎回、講座後にはアンケートを書いていただいていました。

その振り返りを読むのが、実は少し楽しみでもありました。

「難しかった」と正直に書いてくださる方。
「今まで曖昧だった部分がつながった」と言ってくださる方。
「自分の現場でこう活かしてみます」と具体的な行動を書いてくださる方。

理解度は人それぞれです。

でも、10回という時間を通して、

それぞれの立場で何かしらを持ち帰ってくださったのではないかと思っています。

“わからないことに気づく、という前進”

法規やプランニングは、感覚だけでは進めません。

条文の読み方、解釈の仕方、敷地条件との照合、動線や採光、構造との整合性——。

一つでも曖昧な部分があると、どこかで必ず破綻します。

今回の講座で、もし「難しかった」と感じた方がいたとしても、
それは決して後退ではありません。

むしろ、

  • 自分はどこでつまずいているのか
  • 何を理解していないのか
  • 何を曖昧にしてきたのか

そこに気づけたこと自体が、大きな前進です。

わからないことを“わからないままにしない”。
それが、実務において最も重要な姿勢だと思っています。

“教えることの難しさ”

正直に言えば、教えることの難しさも痛感していた社長。

自分の中では体系化されていることも、
いざ言語化し、順序立てて説明するとなると、改めて整理が必要。

どこから話せば理解しやすいのか。
どこまで踏み込むべきか。
どの前提知識を共有できているのか。

「伝えた」ことと「伝わった」ことは違う。
その当たり前を、何度も実感する時間のようでした。


“そして、今日もプランをつくる”

講座は終わりました。
けれど、実務は続きます。

今日も社長は、パソコンに向かい、プランを作成しています。

法規を確認し、敷地を読み、家族の暮らしを想像し、
一本の線を引く。

教えることと、描くことは切り離せません。
実務があるからこそ教えられ、
教えるからこそ実務の解像度が上がる。

その往復の中に、成長があるのだと思います。

今回の講座が、それぞれの現場で小さな変化につながっていれば嬉しいです。

そして私たち自身も、また一歩、深く考える機会をいただきました。

学びは終わりません。

今日も注文住宅のプランニングに向き合いながら、図面の上で問い続けています。

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“設計”の記事一覧

2026.05.18 設計

吹き抜け上部から見下ろした木質の室内空間

ヒノキの無垢床の心地よさ

― アトリエ18が無垢材にこだわる理由 ― 家づくりやリノベーションを考える時、間取りやデザインに目が向きがちですが、毎日直接触れる「床材」は、暮らし心地を大きく左右する大切な要素です。 アトリエ18では、お客様のご要望に合わせながら、基本的にはヒノキの無垢床をおすすめしています。 「無垢フローリングは高いのでは?」と思われる方も多いのですが、実はヒノキの無垢材を選んだからといって、極端に価格が変わるわけではありません。 それ以上に、実際に暮らし始めてから感じる快適さや、木ならではの心地よさを大切にしています。 ヒノキの無垢床は、素足が気持ちいい ヒノキの無垢フローリングは、やわらかな肌触りが特徴です。 素足で歩くとさらっとしていて、夏場でもベタつきにくく、快適に過ごしやすいのが魅力です。 一般的な合板フローリングは、湿気や汗でベタつきを感じやすいことがありますが、ヒノキの床は掃き掃除だけでも心地よさを感じやすく、自然素材ならではの良さがあります。 冬でもヒヤッとしにくい無垢材の床 冬場、フローリングの冷たさが気になるという方も多いのではないでしょうか。 ヒノキの無垢床は、合板フローリングに比べて冷たさを感じにくく、自然な温もりがあります。 毎日何気なく触れている床だからこそ、その小さな違いが暮らしやすさにつながっていきます。 経年変化も楽しめるヒノキの床 ヒノキの無垢材は、年月とともに少しずつ飴色へと変化していきます。 新築やリノベーション直後の明るい色合いから、家族とともに育っていくような変化を楽しめるのも、無垢材ならではの魅力です。 もちろん、傷が付きやすい、水に注意が必要など、天然木ならではの特徴もあります。 それでもアトリエ18では、「長く暮らすほど好きになる家」を大切にしたいと考えています。 アトリエ18の事務所でも、ヒノキの無垢床を使用しています 現在、移転したアトリエ18の事務所もリノベーションを行い、床にはヒノキの無垢材を使用しています。 木の香りや空気感、素足で歩いた時の肌触りは、写真だけではなかなか伝わりません。 「無垢フローリングって実際どうなんだろう?」「ヒノキの床を体感してみたい」 そんな方は、ぜひお気軽にお立ち寄りください。 実際に見て、触れて、無垢材の心地よさを感じていただけたら嬉しいです。

2026.05.14 設計

【後悔しない家づくり】建売住宅と注文住宅の違いとは?実際に住んでわかったリアルな比較

【後悔しない家づくり】建売住宅と注文住宅の違いとは?実際に住んでわかったリアルな比較

家づくりを考えたとき、多くの方が悩むのが「建売住宅」と「注文住宅」のどちらを選ぶべきかという問題です。価格・手軽さ・自由度など、それぞれにメリットがありますが、実際に住んでみないと見えてこないポイントも少なくありません。 今回は、実際に建売住宅に住んでいる体験と、当社(設計事務所)社長の自邸(注文住宅)との比較から、リアルな違いをお伝えします。 建売住宅を選んだ理由 我が家は、一級建築士が設計した建売住宅を購入しました。当時の希望はとてもシンプルで、 リビング階段 吹き抜けは不要(寒そうだから) お風呂は1階 部屋はできるだけコンパクト 洗濯物は見えない位置に干したい この条件に合う物件があったため、「これで十分」と判断して購入しました。 実際に住んでみて良かった点 ■ 1階のお風呂は大正解 子どもが汚れて帰ってきても、そのままお風呂へ直行できます。これは購入前にイメージしていた通りで、非常に使い勝手が良いポイントです。 ■ コンパクトな家でも不自由はない 「広さ=快適さ」とは限らず、コンパクトでも生活自体は問題なく成り立ちます。 住んでから気づいた“細かいストレス” ■ 高天井の落とし穴 圧迫感を軽減するために天井を高くしている設計でしたが、 電球交換が大変 エアコンが高所設置で掃除しにくい 暖房効率が悪く、とにかく寒い 見た目の快適さと、実際の暮らしやすさは別物だと実感しました。 ■ 収納の“使いにくさ” 階段下収納 → 三角形で収納効率が悪い 各部屋の収納 → 2か所に分かれていて使いづらい 「収納がある」ことと「使いやすい」ことは全く別です。 ■ 屋上のメリットとデメリット ベランダの代わりに屋上があり、 洗濯物が外から見えない 布団などもたくさん干せる という点はとても良かったです。 ただし、 上り下りが年々負担になる 子どもが小さいと様子が見えない 結果的に部屋干しがメインに ライフスタイルの変化によって使わなくなる設備もあると感じました。 ■ コンパクトな家ゆえの制約 収納不足で後から工夫が必要 家具を増やせない 大きな家具の搬入が大変 「小さい方がいい」という基準だけでは、後々の柔軟性が不足します。 一方、注文住宅(社長自邸)はどうか 設計事務所の社長の自邸は、いわゆる注文住宅です。(もちろん自身で設計) ■ 大きな不満はなし 暮らしに合わせて設計されているため、ストレスがほとんどありません。 ■ 広い畳リビングの使い勝手 子どもが成長しても使いやすく、長期的な視点で設計されています。 ■ 暖かさの違い 冬でも裸足で過ごせる快適さ。床下エアコンを採用しつつも、過度に稼働させる必要がない設計です。 ■ あえて言うなら 玄関収納をもう少し広くしておけばよかった、という程度。(子どものスポーツ用品など) 建売と注文住宅の本質的な違い 建売住宅 すぐ住める コストが分かりやすい 決断しやすい → ただし「平均点の設計」になりやすい 注文住宅 暮らしに合わせて最適化できる 長期的なストレスが少ない 設計の意図が明確 → ただし「誰に依頼するか」で大きく差が出る 実際に感じたこと 正直なところ、「建売でも十分」と思って選びましたが、 住んでみると小さなストレスが毎日積み重なるという現実があります。 ここがこうだったら… もう少しこうしておけば… そういった不満を、後から道具や工夫で補っています。 また、場合によっては建売と注文住宅の費用差がそこまで大きくないケースもあると感じました。 後悔しないために重要なこと 家づくりで最も重要なのは「どこに相談するか」です。 チェックすべきポイントは明確です。 根拠に基づいた説明があるか デメリットもきちんと伝えているか そのデメリットをどう設計で解決するか説明できるか 良いことだけを言われても、判断材料にはなりません。特に専門知識がない状態では、見抜くことは難しいものです。 まとめ 建売住宅と注文住宅の違いは、単純な価格や見た目ではなく、「暮らしの質」と「ストレスの有無」に現れます。 どちらが正解ということではなく、「自分たちの暮らしに合っているか」を見極めることが重要です。 そしてその判断は、信頼できるプロとの対話なしには難しいと感じています。 家は一度建てると簡単には変えられません。だからこそ、最初の選択がとても重要です。

2026.04.23 設計

建築士として、長年の経験から。後悔しがちな、こんなご要望とは?

建築士として、長年の経験から。後悔しがちな、こんなご要望とは?

家づくりは、人生の中でも大きな決断のひとつ。間取り・デザイン・性能・予算——考えることは多く、迷うのは当然です。 多くのご相談をいただく中で建築士として強く感じることがあります。 それは、「要望の出し方次第で、家づくりは良くも悪くもなる」ということ。 今回は、長年の経験から見えてきた「後悔につながりやすいご要望の特徴」をお伝えします。 1. 要望が定まっていない(あれもこれも状態) 「広いリビングがほしい」「収納もたくさんほしい」「吹き抜けもいいなと思っていて…」 こうしたご相談は、とても多いです。 ただ、ここで問題になるのは👉 “優先順位がないこと” 家づくりは、すべてを叶えることはできません。なぜなら、土地・予算・構造など、必ず制約があるからです。 アトリエ18では「暮らしを言葉にすること」を大切にしています。 つまり重要なのは、 何を一番大切にしたいのか どこは妥協できるのか この軸がないまま進めてしまうと、結果的に「なんとなく中途半端な家」になってしまいます。 2. 価格と要望が見合っていない もうひとつ非常に多いのが、 👉 「理想」と「予算」のズレ たとえば、 大空間のリビング 大きな窓 高性能住宅 造作家具やこだわり素材 これらはすべて、コストに直結します。 家づくりの費用は建物だけでなく、土地・外構・諸費用も含めて考える必要があります。 それにも関わらず、「なんとなくこのくらいで…」という感覚のまま進めてしまうと、 後から削るしかなくなる 本当に大事だった部分を削る 満足度が下がる という結果になりがちです。 理想を叶えるためには、まず“現実”を知ること。これが非常に重要です。 3. 他の人の家を基準にしすぎる SNSや住宅展示場、施工事例などを見ていると、 「この家みたいにしたい」「これも取り入れたい」 と考えるのは自然なことです。 ただしここには、大きな落とし穴があります。 👉 その家は“その人の暮らし”のために設計されているということ アトリエ18の事例でも、同じ間取りや正解はひとつもありません。 なぜなら、 家族構成 生活リズム 土地条件 価値観 すべてが違うからです。 他人の家をベースにすると、一見良さそうでも「自分には合わない家」になってしまいます。 4. 見栄やイメージが先行している これは少し踏み込んだ話ですが、実はとても重要です。 「人からどう見られるか」 「かっこいい家にしたい」 「とにかく広くしたい」 こうした“イメージ優先”の要望は、後悔につながるケースが少なくありません。 なぜなら、家は 👉 “住むための場所”であって、“見せるためのもの”ではないからです。 たとえば、 掃除が大変な間取り 使いにくい動線 持て余す広さ これらは日々のストレスになります。 逆に、 家事がラク 落ち着ける 自分たちらしい こうした要素のほうが、長く満足につながります。 まとめ|後悔しないために必要なのは「軸」 家づくりで後悔しがちな要望には、共通点があります。 それはすべて、👉 “自分たちの軸がないこと” あれもこれも欲しい 予算が曖昧 他人基準 見た目優先 こうした状態から一歩進んで、 自分たちはどんな暮らしをしたいのか 何を優先するのか どこにお金をかけるのか ここを明確にすることが、後悔しない家づくりの第一歩です。 最後に 家づくりは「間取りを決めること」ではなく、👉 “暮らしを設計すること” 迷ったときこそ、一度立ち止まって考えてみてください。 「この要望は、本当に自分たちの暮らしに必要なのか?」 その問いに答えられるようになったとき、家づくりは一気に前に進みます。

2026.04.16 設計

間取りで失敗しないために!後悔の原因は?

間取りで失敗しないために!後悔の原因は?

「注文住宅 間取り 失敗」「家づくり 後悔 ランキング」と検索している方の多くが不安に感じているのは、👉 住んでからの“使いにくさ”です。 実は、間取りの後悔の原因はデザインではありません。本質はとてもシンプルで、 👉 生活とのズレがすべてです。 この記事では、注文住宅でよくある間取りの失敗例と、その根本的な解決方法を解説します。■ よくある間取りの失敗例(実際に多い後悔) 検索されているキーワードの中でも特に多いのが、「動線」と「使いやすさ」に関する後悔です。 ① 洗濯動線が悪い 洗濯機 → 干す場所 → 収納 がバラバラ 毎日の移動距離が長く、家事が負担になる ② 収納が使いにくい 収納は多いのに、使う場所にない 結果、リビングや部屋が散らかる ③ 家事動線が分断されている キッチン・洗面・リビングが離れている 家事のたびに行ったり来たりする ■ なぜ間取りで失敗するのか? 理由は明確です。 👉 “間取りありき”で考えてしまうからです。 多くの人は、 おしゃれな施工事例 人気の間取りプラン SNSで見た家 をベースに考えます。 しかしそれらは、👉 「誰かの暮らし」に最適化されたものです。 そのまま取り入れても、自分たちの生活にはフィットしません。 ■ テンプレ間取りでは解決できない理由 「4LDK・回遊動線・広いリビング」など、一見理想的な間取りでも、 起床時間 家事のやり方 物の量 家族の動き が違えば、使い勝手は大きく変わります。 つまり、 👉 正解の間取りは一つではなく、“人の数だけある”のです。 ■ 間取りで失敗しないための考え方 答えはシンプルです。 👉 間取りの前に“暮らし”を設計すること。 具体的には、以下を明確にします。 朝起きてから出かけるまでの動き 帰宅後の流れ(手洗い・着替え・食事) 洗濯・料理・片付けの一連の動線 これらを整理したうえで、 👉 動きを最短距離でつなぐ設計を行うことで、無駄のない快適な間取りが実現します。 ■ 設計でしか解決できない重要ポイント ここは非常に重要です。 👉 動線や使いやすさは“後から直せない”要素です。 収納を追加する 家具で補う といった対応はできますが、根本的な解決にはなりません。 だからこそ、 👉 設計段階でどこまで生活を具体化できるかが、成功の分かれ道になります。 ■ まとめ|間取りの正解は「暮らしの中にある」 間取りで後悔するかどうかは、 デザインでも 広さでも 流行でもなく 👉 生活にどれだけフィットしているかで決まります。 そしてその鍵は、 👉 「図面」ではなく「暮らし」から考えること。 ■ 注文住宅を検討している方へ もし今、 間取りで失敗したくない 家事がラクな家にしたい 自分たちに合う設計が分からない と感じているなら、 👉 一度“暮らしの整理”から始めることをおすすめします。 家づくりは、間取りを考えることではなく、どう暮らしたいかを言語化することから始まります。

2026.04.09 設計

性能って何なのか。一級建築士の視点

性能って何なのか。一級建築士の視点

「この家、性能がいいんです」 家づくりを検討していると、必ずと言っていいほど耳にする言葉です。断熱性能、気密性能、耐震性能、省エネ性能…。 では、その「性能」って、いったい何なのでしょうか。 みんなが思う「性能」 多くの方にとっての性能は、「数値で比較できるもの」ではないでしょうか。 ・断熱等級が高い・気密測定の数値がいい・耐震等級3・光熱費が安い もちろん、これらはすべて大切です。住宅の安全性や快適性を支える、重要な指標でもあります。 実際、アトリエ18でも、長期優良住宅を標準とし、一定以上の性能を確保しています。 ただ、ここで一つ考えたいことがあります。 数値が良ければ、それでいいのか? 例えば、断熱性能を極限まで高めた家。 たしかに冬は暖かく、夏は涼しい。でもそのために―― ・窓が小さくなりすぎる・光や風が入りにくくなる・外とのつながりが失われる そんな家になってしまったらどうでしょうか。 数値としての「性能」は高い。でも、暮らしとしてはどうか。 ここに、建築士が考える性能の本質があります。 一級建築士が考える「性能」 一級建築士にとっての性能は、単なるスペックではありません。 それは、 「暮らしを成立させるための総合力」です。 ・冬に暖かいこと・夏に涼しいこと・地震に強いこと・長く使えること それに加えて、 ・光が気持ちいいこと・風が通ること・ストレスなく過ごせること これらがすべて揃って、はじめて「性能がいい」と言えます。 アトリエ18が考える性能 アトリエ18では、性能を「やりすぎない」ことも大切にしています。 なぜなら、家は実験施設ではなく、日常を過ごす場所だからです。 たとえば、 ・窓の大きさや位置を、光と熱のバランスで決める・庇や配置で、自然に温熱環境を整える・土地の特性を読み取り、無理のない設計をする 自然の力も含めて設計することで、過剰な設備やコストに頼らない家をつくっています。 「ちょうどいい性能」という考え方 性能は、高ければ高いほどいい。 そう思われがちですが、実際は少し違います。 大切なのは、 その人の暮らしにとって“ちょうどいいか”どうか。 ・家族構成・ライフスタイル・土地の条件・予算 これらによって、最適な性能は変わります。 だからこそ、一律の「正解」はありません。 性能は、暮らしのためにある 家づくりは「商品選び」ではなく、「暮らしをつくること」です。 性能は、その暮らしを支えるためのもの。 数値を上げることが目的ではなく、心地よく生きるための手段です。 最後に 性能という言葉に振り回されるのではなく、一度立ち止まって考えてみてください。 「自分にとって、心地いい暮らしって何だろう?」 その答えの中にこそ、本当に必要な性能があります。 そしてそれを形にするのが、設計士の役割です。

2026.03.23 設計

機能がいい!だけじゃダメ。暮らしやすさの落とし穴とは?

機能がいい!だけじゃダメ。暮らしやすさの落とし穴とは?

「高性能な家にしたい」「断熱や省エネはしっかりしたい」 家づくりを考え始めたとき、多くの方がまず意識するのが“性能”です。もちろんそれはとても大切な視点です。断熱性能や気密性能は、住み心地や光熱費に直結します。 しかし——「機能がいい=暮らしやすい」ではないここに大きな落とし穴があります。性能を追いすぎると、家計を圧迫することも 例えば、断熱性能を表す指標である「Ua値(外皮平均熱貫流率)」。 数値が低いほど断熱性は高くなりますが、その分、高性能なサッシや断熱材が必要になり、コストは確実に上がります。 また、省エネ設備(高効率エアコン・全館空調・太陽光など)も同様に、初期費用が高額になりやすいポイントです。 ここで一度立ち止まって考えてほしいのが、 その性能、本当に必要ですか? 投資した分、回収できる設計になっていますか? 住宅ローンや今後の生活費に無理はありませんか? 性能だけを優先してしまうと、家を建てた後の暮らしが苦しくなるという本末転倒な状態にもなりかねません。 本当に大切なのは「暮らしやすさ」 では、何を基準に考えるべきか。 それはシンプルに、「毎日の生活がストレスなく回るかどうか」 たとえば—— キッチンから洗面・物干しまでの家事導線 家の中をぐるっと回れる回遊導線 収納の位置と量のバランス 朝の混雑を防ぐ動線設計 こうした要素は、数値では測れませんが、日々の快適さに直結する非常に重要なポイントです。 どれだけ高性能な家でも、「洗濯動線が悪くて毎日遠回り」「収納が使いにくくて散らかる」 そんな状態では、暮らしやすいとは言えません。 設計で差が出る「体感の快適さ」 実は、暮らしやすさの多くは「設計」で決まります。 例えば、 南からの採光を活かした配置で、冬でも暖かく過ごせる 風の通り道を考えた窓配置で、エアコンに頼りすぎない 必要な場所に必要な収納を設けることで、家事効率を上げる こうした工夫によって、過剰な設備に頼らなくても快適な住まいは実現できます。 つまり、 性能 × 設計 = 本当の暮らしやすさ なのです。 「性能・コスト・暮らし」のバランスが重要 理想的な家づくりは、どれか一つを優先するものではありません。 断熱・気密といった基本性能 無理のない住宅ローンとランニングコスト 日々のストレスを減らす動線設計 この3つのバランスが取れていることが重要です。 特に見落とされがちなのが「ランニングコスト」。 光熱費 メンテナンス費用 将来の修繕費 これらを含めた“トータルコスト”で考えることで、長く安心して暮らせる住まいになります。 家は「性能を買うもの」ではなく「暮らしをつくるもの」 家づくりは、スペック競争ではありません。 高性能な設備や数値に目がいきがちですが、本当に大切なのは、 自分たちの暮らしに合っているか 無理なく維持できるか 毎日が快適に回る設計になっているか という視点です。 「機能がいい」だけでなく、「暮らしやすい」家を。

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